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【AWS re:Invent2023】Keynote Day 2 | Adam Selipsky 前半(現地レポート)

2023.11.29

本記事のポイント

AWSが主催するクラウドコンピューティング最大のイベント「AWS re:Invent」が、2023年11月27日~12月1日にかけてアメリカのラスベガスにて開催されます。本ブログでは、AWS re:Inventに実際に参加したエンジニアから、イベントの様子やKeynote(基調講演)の現地レポートをいち早くお届けします。
第2回目の今回は、11/28(火)8:00~10:30(現地時間)に実施されたAdam Selipskyによる基調講演の内容をお伝えします。



AWS re:Invent とは?

re:Inventとは、Amazon Web Services(以下、AWS)が主催するAWSに関するセッションや展示ブース、試験準備のためのブートキャンプやゲーム化された演習などを通じて、参加者が主体的に学習できるAWS最大のイベントです。

昨年も今年同様にラスベガスにて開催されており、60以上の新サービスや新機能が発表されました。昨年の参加人数は5.1万人以上になります。

基調講演の現地レポート(Day2、Adam Selipsky)

2回目の基調講演レポートとなる今回は、11/28(火)8:00~10:30に開催されたKeynote Day 2 | Adam Selipskyに関する講演をリポートします。

公式サイトによるセッション紹介を日本語訳すると、以下のような内容になります。

アマゾン ウェブ サービスCEOのアダム・セリプスキーがクラウド・トランスフォーメーションについて語ります。セリプスキーは、データ、インフラ、人工知能、機械学習におけるイノベーションを紹介し、AWSのお客様がより早く目標を達成し、未開拓の可能性を掘り起こし、より良い未来を創造できるよう支援します。

引用元:AWS re:Invent公式サイト

登壇者

登壇者はこちらの方です。

会社名 登壇者 役職
Amazon Web Services Adam Selipsky CEO

会場の雰囲気

朝8時と早い時間でしたが、会場はライブパフォーマンスによる重低音が響き渡っており、テンションも高まっていきます。 10分前にはすでに会場から溢れるほどの多くの人で賑わっていました。

Amazon S3 Express One Zone

AWSの初期から親しまれ続けてきたサービスの1つであるS3に、新しいストレージクラスが追加されると発表されました。

この新しい「Amazon S3 Express One Zone 」は最高の性能と最低のレイテンシーのクラウドオブジェクトストレージです。

データを単一のアベイラビリティーゾーンに配置して計算することで、毎分数百万のリクエストを処理することができ、最も頻繁に使用するストレージに最適となっています。 1msという非常に低いレイテンシや、S3 Standardと比較してアクセスのコストが50%削減されるという特徴があります。

金融の分析、リアルタイムの広告、不正検出、機械学習のトレーニングなどの、短時間に大量のデータに頻繁にアクセスされる例ではこのストレージを使うといいでしょう。

詳しくはこちらをご覧ください。

https://aws.amazon.com/jp/blogs/aws/new-amazon-s3-express-one-zone-high-performance-storage-class/

AWS Graviton4

次に発表されたのは、ARMベースの最新プロセッサであるAWS Graviton4(以下、Graviton4)です。

2022に導入されたAWS Graviton3に比べて、30%速い、一番パワフルでエネルギー効率のいいチップになります。 データベースアプリケーションの速度は40%向上し、大規模なJavaアプリケーションの場合は45%高速になりました。

続いてGraviton4を利用したEC2 R8g Instancesが発表されました。

こちらは現地の11/28からプレビューが利用可能になります。

https://aws.amazon.com/jp/ec2/instance-types/r8g/

AWS Trainium2

生成系AIの再開発について話が変わります。

AWS Trainium2(以下 Trainium2)が発表されました。

AWS TrainiumとはAWSが専用に構築した第2世代の機械学習(ML)アクセラレーターであり、高性能な深層学習のトレーニングに特化した設計となっています。 既存のTrainiumをベースとしたTrn1インスタンスでは同等のAmazon EC2インスタンスと比較して、トレーニングに要する時間を短縮し、トレーニングに要するコストを最大50%削減することで高性能かつ低コストのソリューションを提供していました。

本日発表されたTrainium2ではTrainiumより4倍速く、数千億から数兆のパラメータを利用したFMSのトレーニング用に最適化されています。 また、65エクサフロップスのオンデマンドのスーパーコンピューターのパフォーマンスを発揮します。

※エクサフロップスはスーパーコンピューターの性能を表し,1エクサフロップス(exafrops)は1秒間あたり10の18乗回の浮動小数点演算という単位です。

来年には大企業向けの最初のトレーニングが利用可能になる見込みだそうです。

Amazon Bedrock

Amazon Bedrock(以下、Bedrock)は大手AI企業が提供する高性能な基盤モデル(FM)を単一のAPIで選択できるフルマネージド型サービスです。 AWSではFMを使用して生成系AIアプリケーションを構築およびスケーリングする最も簡単な方法とされています。

チューニング

Bedrockで以下のサービスに新しく調整が入り一般公開されました。

  • Cohere Command Lite
  • Meta Llama 2
  • Amazon Titan Text Lite
  • Amazon Titan Text Express

  • Anthropic Claudeの調整は近日公開だそうです。

    ナレッジベースを適用したRAG

    Bedrockのナレッジベースを使用するとBedrock内からFMをデータソースに接続して検索拡張生成(RAG)を行うことができるようになりました。

    Bedrockはデータをセキュアかつプライベートに保っています。

    またBedrockはセキュリティの機能として、Amazon CloudWatchやAWS CloudTrailに統合できる機能を最近追加しています。

    ガードレール

    Bedrockのガードレールがプレビューとして現地時間11/28の今日公開されました。 責任あるAIポリシーで生成AIアプリケーションを保護するものです。

    例えば有害なコンテンツのフィルタリングを簡単に設定できます。 またこれは任意のFMまたはエージェントにガードレールを適用することができます。

    個人を特定できる情報(PII)を編集する機能は近日公開だそうです。 ユーザー入力やFM応答からPIIを検出し、ユーザーのプライバシーを保護することができます。

    まとめ

    Keynote2日目の前半をレポートしました。このイベント名にもなっているreinventing(再開発)という単語が繰り返されており、既存のサービスも新しい設計で新サービスを出すなど進化を続けていることがわかるKeynoteでした。 まだまだ新しいサービスが紹介されていますが長くなってしまうので後半のレポートに続きます!