OPS

【AWS re:Invent 2023】新ストレージクラス S3 Express One Zoneと既存S3の比較

2023.12.11

本記事のポイント

先日Keynote Day 2 | Adam Selipskyniteにて公開されたS3 Express One Zoneについて詳細が公開されました。
今までのストレージクラスと比べて、どのような特徴があるのかDeep dive on Amazon S3 Express One Zone storage classを受講しましたのでリポートします。


AWS re:Invent とは?

re:Inventとは、Amazon Web Services(以下、AWS)が主催するAWSに関するセッションや展示ブース、試験準備のためのブートキャンプやゲーム化された演習などを通じて、参加者が主体的に学習できるAWS最大のイベントです。

昨年も今年同様にラスベガスにて開催されており、60以上の新サービスや新機能が発表されました。昨年の参加人数は5.1万人以上になります。

S3 Express One Zoneとは

AWS re:Invent 2023の2日目のKeynoteにて発表された、AWSの代表的なオブジェクトストレージサービスである「S3」の新しいストレージクラスです。

既に多くの方が利用しているであろうサービスですが既存のS3との違いを交えて紹介します。

【AWS re:Invent2023】Keynote Day 2 | Adam Selipsky 後半(現地レポート)

セッション情報

セッション名 Deep dive on Amazon S3 Express One Zone storage class
セッション概要 Amazon S3 Express One Zoneストレージクラスは、一貫した1桁ミリ秒のレイテンシと、頻繁にアクセスされるデータセットに対して毎分数百万のリクエストに拡張する能力を必要とするパフォーマンスクリティカルなアプリケーションのために、最速かつ低レイテンシのクラウドオブジェクトストレージの1つを提供します。
本セッションでは、この新しいシングルアベイラビリティゾーンストレージクラス、53の新しいディレクトリバケット、そしてどのように同じAWSアベイラビリティゾーンにストレージとコンピューティングを配置し、コンピューティングリソースをより効率的に使用し、TCOを削減できるかについて学びます。
さらに、Pinterestが最も重要なアプリケーションの1つのレイテンシをどのように改善したかを聞くことができます。
登壇者 Ambud Sharma
Matthew Sidley
Shakhi Hali

S3 Express One Zoneの概要

S3はその汎用性の高さにより様々なワークロードに利用されております。

そのワークロードの中にはリアルタイムの処理を要するものや不正検知など、レイテンシーを可能な限り減らす必要があるケースも少なくありません。

今回紹介されたS3 Express One Zoneはそのようなニーズに答える新しいS3のストレージクラスです。

名前の通り単一のアベイラビリティゾーン(以下AZ)のみへ配置されており以下のようなメリットを実現しております。

・一桁ミリ秒で最初のバイトレイテンシーが一貫している

・1分間に数百万件のリクエストが可能

・同一AZ内で処理が行われるため既存のS3ストレージクラスよりも早い

S3 Express One Zoneの性能比較

セッションではデモンストレーションによる説明が多く性能の高さを実感することができました。

初めにワークロードの比較です。

下図の通り一つ一つのジョブ完了時間が短縮されておりスタンダードクラスと比較しておよそ3分の2ほどになっていることが確認できます。

次にコスト面はなんと最大60%も削減が見込まれるとのことです。

従来のS3ではストレージデータ取得のためにGPUの待ち時間が定期的にスパイクする事象がござましたが、S3 Express One Zoneでは待ち時間が発生せず安定したストレージデータの取得が期待できます。

その他AWSサービス毎にパフォーマンスの向上が発表されております。

中でもAmazon Athenaの差分が分かりやすく、同一のクエリを流した場合でも処理時間がおよそ3分の2で完了しておりました。

最後に

今までにないタイプのコストも抑えられてレイテンシーも早く需要があるストレージクラスですね。

今後、ユースケースに応じて登場機会が増えると予測されます。

特性を理解した上でサービスに対して最適なストレージクラスを吟味しましょう。