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Google Cloud Next Tokyo ’24 基調講演

【Google Cloud Next Tokyo‘24】DAY 1 基調講演(講演レポート)

2024.08.08

本記事のポイント

2024年8月1日~2日の2日間、パシフィコ横浜ノースにてビジネスリーダー、イノベーター、エンジニアのためのクラウドカンファレンス「Google Cloud Next Tokyo ’24」が開催されました。

本ブログでは、Google Cloud Next Tokyo ’24に実際に参加したエンジニアから、イベントの様子や講演の現地レポートをいち早くお届けします。

今回は、8/1(木)10:00~11:30に開催されたセッション「DAY 1 基調講演」をリポートします。


Google Cloud Next Tokyo ‘24とは?

Google Cloud Next Tokyo ’24とは、ビジネス リーダー、イノベーター、エンジニアのためのクラウド カンファレンスです。基調講演やスペシャルセッションを含む160を超えるセッション、Google Cloudの最新製品やソリューションをエキスパートと交流しながら体験できるエリアなどが用意されています。

生成AIをはじめ、ビジネスに欠かせないテーマでのセッションなどさまざまなプログラムが2日間にわたって催されました。

セッション概要(DAY 1 基調講演)

今回は、8/1(木)10:00~11:30に開催されたセッション「DAY 1 基調講演」をリポートします。公式サイト上のセッション紹介は以下の通りです。

“今、世界中が注目する生成 AI に関するアップデートを中心に、Google の取り組み、および Google Cloud の最新ソリューションとカスタマーのユースケースをお届けします。

日本で活躍するビジネスリーダーのビジョンを聞き、進化し続けるクラウド技術を知り、みなさまのビジネスをどうドライブすることができるか、ヒントを見つけてください。“

Google Cloud Next Tokyo ’24

登壇者

企業 名前(敬称略) 役職・肩書
Google Cloud 平手 智行 日本代表
Google DeepMind セシュ アジャラプ プロダクト & エンジニアリング シニア ディレクター
Google アーワン メナード Cloud AI ディレクター プロダクト マネージメント
LINEヤフー 宮澤 弦 上級執行役員 生成AI統括本部長
Google Cloud 諏訪 悠紀 Retail & CPG Cluster カスタマー エンジニア
Google Cloud クリスティナ ベア Google Workspace 事業本部 コラボレーション アプリ プロダクト マネージメント バイス プレジデント
星野リゾート 星野 佳路 代表
Google Cloud 白川 遼 Google Workspace 事業本部 ソリューション エンジニアリング リード
東日本旅客鉄道 伊勢 勝巳 代表取締役副社長 イノベーション戦略本部長 CTO・CDO・CIO
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セッションレポート

イントロダクション

近年の生成AIの発展には目覚ましいものがあります。冒頭ではこうした生成AIを取り巻く状況の概観と、Google Cloudのサービスや理念の紹介が行われていました。その中で、以下について述べられています。

  • 各リージョンの整備
  • 通信設備の強化計画(海底ケーブル等)
  • Gemini 1.5の紹介

  • また、以下の内容についても強調されていました。

  • 生成AIモデルの活用法に注力するフェーズから、生成AIエージェントの活用をするフェーズに急激に移っている
  • 生成AIが業務を補助するツールにとどまらず、業務自体をカバーできる段階にまで進んでいる。
  • Google DeepMindの歩み

    続いて、Googleが開発・提供している会話型人工知能「Gemini」を開発しているGoogle DeepMindの歩みについて触れられています。

    Google DeepMindはこれまでAlphaGoなど、ゲームを行うAIを切り口に、様々なAI技術の開発を行ってきました。こうした中で生み出されたのがマルチモーダルモデルであるGeminiです。

    現行のGemini 1.5 Proは最大200万トークンもの情報を処理することが出来る非常に高性能なものとなっております。これに関して、カメラからの映像情報を読み取りながら、人間の問いかけに対して瞬時に音声で答えてくれる実例を記録した映像が放映されました。

    一方で卓越したAIを利用する上では、卓越した注意を払う必要があることについて述べられていました。例えば、GoogleではSynthIDというAIが生成をしたコンテンツを識別する技術があります。これにより、AIを用いられたディープフェイクに対抗することができます。

    以上のように、講演の前半部分では生成AIの驚異的なイノベーションや、生成AIの活用が行われるフェーズへの移行について熱く語られていました。

    この記事の次に続く部分では、講演内で紹介されたサービスや最新ソリューション、ユースケースについて幅広く触れていきます。

    構築済みの生成AIアプリケーションと構築用プラットフォーム

    Google Cloud Next Tokyo ’24 基調講演

    講演のこの部分では、以下の二つの分野について焦点が当てられています。

  • ビジネスユーザー向けの構築済みアプリケーション
  • 開発者向けの独自アプリケーション構築用プラットフォーム
  • ビジネスユーザー向けの構築済みアプリケーション

    ビジネスユーザー向けの構築済みアプリケーションとしてはGemini for Google CloudやGemini for Google Workspaceが紹介され、これらによってカスタマー体験を高めることができるとされていました。

    その実例としては、AIによるコールセンター受付、チャットボットサービスが挙げられています。

    開発者向けの独自アプリケーション構築用プラットフォーム

    続いて、開発者向けの独自アプリケーション構築用プラットフォームとしてはVertex AIと、その中の3つの部分であるVertex AI Model Garden、Model Builder、Vertex AI Agent Builderについて詳細に紹介されています。

    新サービス・新情報

    こうした中で、複数の新サービスや新情報についても言及がありました。

  • Geminiの機械学習がすべて日本国内で完結される。実装は今年(2024年)後半
  • Vertex AI Model GardenへのGemma 2、Llama 3.1、 Mistralモデルの追加
  • Gemini 1.5 ProとFlashを対象にコンテキストキャッシング機能の追加
  • Vertex AIのグラウンディング機能の拡張(サードパーティデータセットによるグラウンディング、高忠実度モードによるグラウンディング、Dynamic Retrievalの3つ)
  • 生成AIを用いたソリューション

    ここから先では、生成AIを用いたソリューションの実例について述べられたり、デモが行われたりしていました。この項では、述べられていた内容について要約していきます。

    LINEヤフー株式会社の例
  • 商品説明文を生成するためにVertex AI、Gemini APIを活用
  • よりよい検索のためのVertex AIのグラウンディング機能を活用
  • 社内業務改善のためのVertex AI Agent Builder(社内向けAIエージェント開発)
  • 架空のECサイトにAIエージェントを導入する方法を実演
  • 自然言語を用いて、動画中に出ていた服に近いものを探す
  • 着こなしの提案を行うこともできる
  • 実際のシチュエーションの想定(画像形式で出力)
  • Geminiの新情報

    続いてこの項では、講演中に述べられたGeminiについての新情報について触れていきます。まず、新情報として以下のものが発表されています。これから積極的に利用していきたいものばかりでした。

  • 日本語でGoogle Workspace拡張ベータ版を発表予定
  • Gemini for Google Workspaceでのサイドパネルの日本語版実装(2024年9月)
  • Geminiを用いた具体的なソリューションや実演

    次いで、Geminiを用いた具体的なソリューションやその実演について述べていきます。

    Gemini for Google Workspace
  • Geminiをカスタマイズする機能「Gems」によるリアルタイム自動翻訳
  • LLM(大規模言語モデル)を用いたGmailの受信トレイに届くスパムの削減
  • Google ドライブでの機密データの安全性確保
  • Gemini for Google Workspaceのサイドパネル機能を使った業務の効率化
  • Gemini for Google Workspaceの実演例
  • Gmailの受信トレイにあるメールの優先度判断
  • Googleドライブ内のファイル内容の要約、表作成など
  • メール、ドキュメント形式などでエクスポート
  • 東日本旅客鉄道でのGeminiの用例(JREトラベルコンシェルジュ)
  • 観光地、交通などの情報提供
  • 個人の好みを分析した上での探訪スポット提案
  • 旅程の生成機能
  • AIを導入するビジネス面での意義

    また、この講演中では具体的なソリューションばかりではなく、AIを導入することについてのビジネス面での意義についても触れられていました。

    以下はそれについて、星野リゾート代表の星野 佳路氏により述べられていた内容です。

    AIを導入する理由
  • 言語対応
  • 正確性
  • 固定観念から脱却(日々の意思決定にかかわる固定観念の打破)
  • 創造性の刺激
  • AIにより浮いた人的、時間的なリソースをマネジメント的課題に充てる例
  • 国語の表現力(外国語はAIに任せられるので、国語での表現力に注力できる)
  • 発想をひねる
  • 選択肢を外す(AIが出した選択肢の取捨選択)
  • 個性の表現

  • これらの説明の中で、AIが社員一人一人にいわばマネジメント的な課題について考える機会を与える、ということについても強調されていました。

    まとめ

    近年ホットな話題となっている、生成AIに関する具体的なソリューションや経営的な理念まで幅広く述べられていた印象です。このため、この基調講演の内容は非常に濃いものであったと感じられました。

    また、ビジネス的な局面のみならず、私たち一人一人の日常生活に関わるものも数多く触れられていた印象です。

    次いで、講演のどのセクションでも、我々が普段日常で使うような自然言語を用いてAIとやり取りしている様子が際立っていたと感じられます。専門知識に乏しくても手軽に生成AIの先進的な技術の恩恵を享受できる社会になりつつある、ということがこの基調講演をもって実感することができ、その面でも感慨深い内容であったと感じています。

    更にまとめとして、ここで1日目の基調講演中に今回発表された新情報について、あらためて触れておきたいと思います。

  • Geminiの機械学習がすべて日本国内で完結される。実装は今年(2024年)後半
  • Vertex AI Model GardenへのGemma 2、Llama 3.1、 Mistralモデルの追加
  • Gemini 1.5 ProとFlashを対象にコンテキストキャッシング機能の追加
  • Vertex AIのグラウンディング機能の拡張(サードパーティデータセットによるグラウンディング、高忠実度モードによるグラウンディング、Dynamic Retrievalの3つ)
  • 日本語でGoogle Workspace拡張ベータ版を発表予定
  • Gemini for Google Workspaceでのサイドパネルの日本語版実装(2024年9月)

  • 生成AIの技術が飛躍的に発展していく昨今、こうした情報に対して感度を高めて日々を過ごしたいと感じる内容の講演でした。

    Google Cloud Next Tokyo ’24 基調講演

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