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Google Cloud Next '24 基調講演スピーカー

【Google Cloud Next Tokyo ’24】DAY 2 基調講演(講演レポート)

2024.08.14

本記事のポイント

2024年8月1日~2日の2日間、パシフィコ横浜ノースにてビジネスリーダー、イノベーター、エンジニアのためのクラウドカンファレンス「Google Cloud Next Tokyo ’24」が開催されました。

本ブログでは、Google Cloud Next Tokyo ’24に実際に参加したエンジニアから、イベントの様子や講演の現地レポートをいち早くお届けします。

今回は、8/2(金) 10:00~11:30に開催されたセッション「DAY 2 基調講演」をリポートします。


Google Cloud Next Tokyo ’24とは?

Google Cloud Next Tokyo ’24とは、ビジネス リーダー、イノベーター、エンジニアのためのクラウド カンファレンスです。基調講演やスペシャルセッションを含む160を超えるセッション、Google Cloudの最新製品やソリューションをエキスパートと交流しながら体験できるエリアなどが用意されています。

生成AIをはじめ、ビジネスに欠かせないテーマでのセッションなどさまざまなプログラムが2日間にわたって催されました。

セッション概要(DAY 2 基調講演)

今回は、8/2(金) 10:00~11:30に開催されたセッション「DAY 2 基調講演」をリポートします。公式サイト上のセッション紹介は以下の通りです。

“近年、生成AIが注目を浴びる一方で、多くの企業や開発者はサービスへの生成AIの実装や活用に試行錯誤しています。
DAY2基調講演では、開発者目線でのGoogle Cloudが提供する生成AIのコンセプトから、実際にサービスにGoogle Cloudの生成AIを活用し、その効果を実感するユーザーの体験をお届けします。“

登壇者

企業 名前(敬称略) 役職・肩書
日本テレビ放送網 辻 理奈 DX推進局 データ戦略部 主任
ヤマト運輸 秦野 芳宏 執行役員 輸配送オペレーション システム統括
トヨタ自動車 後藤 広大 生産デジタル変革室 AIグループ長
三井住友フィナンシャルグループ 高松 英生 常務執行役員(Chief Data and Analytics Officer)
Google Cloud ブラッド カルダー Google Cloud プラットフォーム & テクニカル インフラストラクチャ バイス プレジデント兼ジェネラル マネージャー
Google Cloud アンディ ガットマンズ データベース ジェネラル マネージャー兼バイス プレジデント
Google Cloud 渕野 大輔 カスタマー エンジニアリング 技術本部長
Google Cloud 橋村 抄恵子 Google Cloud Security ソリューションマーケティング担当部長
Google Cloud 上野 由美 執行役員 グローバル スペシャリティセールス Google Workspace 事業本部
Google Cloud 高村 哲貴 カスタマー エンジニア
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セッションレポート

イントロダクション

前日にあたる1日目の基調講演では、AI技術の発展やインフラの強化、そしてAIエージェント開発についての具体的なソリューションについて数多く触れられていました。

その中で「生成AIを試す段階から使う段階への転換期である」「”How you build”から”What you build”へのシフトが進んでいる」ということも冒頭で強調されていました。こうした課題解決のためのAIアプリケーションのことを、Googleでは「AIエージェント」としているという定義も改めて述べられていました。

しかし実際にAIエージェントを活用するためには、ハルシネーションをはじめとした課題を克服する必要があります。そこでGoogleでは、グラウンディング機能などの克服の手段を用意していることも述べられています。

この具体的内容については1日目の基調講演で触れられていますので、まだ 1日目の基調講演のセッションレポート を見られていない方は、こちらも合わせてご確認ください!

一方で、今回紹介する2日目の基調講演では各AIエージェントのユースケースが中心の内容となっています。この記事では次の章からそのユースケースについて具体的に触れていきます。

Google Cloud Next '24 基調講演会場

事業貢献のためのAI

続いて、業務の改善のみならず事業自体にAIが直接貢献する例が紹介されていました。

コンテクスチュアル広告でのGeminiの活用
  • Geminiはマルチモーダルであるため、動画などの媒体から情報を読み取れることが強みである
  • 他のGoogle Cloud製品に連携できるため、業務に直結させやすいこともよい点である
  • エージェント開発時のVertex AI Agent Builderの活用
  • 開発スピードを向上させられる
  • コストとクオリティを同時に担保できる

  • このように、生成AIはPoC(概念実証)の段階から、実用化のフェーズに移行していることと、Google Cloudにはその移行に追従する環境が整えられていると述べられていました。

    新情報

    また、新たな情報として以下が発表されました。

  • テキストや画像から動画を生成する「Google Veo(動画生成AI)」が年内公開プレビュー予定である
  • データエージェントとAI

    続いて、データを分析するデータエージェントとAIに関する様々な情報、ユースケースが紹介されていました。

    BigQueryなどデータ分析基盤とAIが密接に連携できるようになる注目の新サービスについての内容が中心となっています。これらについて、以下でまとめて述べていきます。

  • Gemini in BigQueryのプレビュー版公開
  • BigQueryデータキャンバスの一般提供開始
  • Gemini最適化機能の一般提供(クエリパフォーマンスの向上)
  • Data Preparation for Gemini in BigQueryのプレビュー版公開(AIによるデータパイプライン構築支援)
  • Vector Indexing in BigQueryのプレビュー版公開
  • BigQuery to Vertex AIのプレビュー版公開(BigQueryからVertex AIモデルに直接アクセスできるようになる)
  • Gemini in Looker(Lookerとデータエージェントの連携を強化)
  • 【実演】データ分析にAIを用いる例

    また、こうしたデータ分析にAIを用いる例の実演もありました。

    その内容は、データベースに保管されているある商品の売り上げ状況を、AIで傾向の分析や予測、具体的に起こすアクションの提案や商品のPR文の生成などが含まれていました。

    さらにはヤマト運輸株式会社の秦野氏より、AIを物流業界で活用する事例の紹介も行われています。

  • 担当エリアの割り当てや配送ルートをAIで生成・管理
  • 作成するにあたってドライバーの知見も反映

  • また、これらのアプリケーションはアジャイル開発によって行われ、都度リリース・改善が実施されているようです。

    コードエージェントとAI

    続いて、生成AIとコードエージェントについての具体例について言及されています。そのサービスの一つである、Gemini Code Assistは開発元であるGoogle社内で非常に大きな効果を上げていると述べられていました。

    まず、このトピック内の新情報について以下でまとめていきます。

  • Gemini 1.5の日本語サポート
  • 任意のIDE(統合開発環境)の読み込みが可能に
  • 自然言語を用いてコードの修正を行うコードトランスフォーメーションの実装
  • Gemini Cloud Assistの一般提供開始(Gemini Code Assistと併用することで開発と運用の連携が可能に)
  • 年間1万時間以上の工数を削減した例

    これに続いて、トヨタ自動車株式会社株式会社の後藤氏より、コードエージェントとAIの導入に関する具体例について紹介されています。

  • GKE(Google Kubernetes Engine)によるAIプラットフォームの導入
  • GKE Autopilotの導入
  • イメージストリーミング(Podの起動時間とAIの学習にかかるコストを削減できる)の導入

  • この成果として年間1万時間以上の工数削減ができたと述べられていました。

    さらには、開発環境の効率化手段としてCloud Workstationsや、Tech Acceleration Program、Gemini Code Assistについても言及されています。

    データベースとAI

    続いて、講演の中ではデータベースとAIについて触れられていました。まず、Cloud Spannerについての新情報についてまとめます。

  • Spanner Graphのプレビュー版公開(グラフデータベース)
  • Cloud Spannerの全文検索とベクトル検索機能のプレビュー版公開
  • Cloud Spannerエディション(段階的な価格設定モデル)の近日公開
  • まだまだ新情報は続きます。次はBigtableについての新情報をまとめます。

  • Bigtable distributed countersの一般提供開始
  • BigtableがSQL対応開始(プレビュー版公開)
  • Cloud SQL for SQL Server Enterprise Plusエディション(Enterpriseエディションの4倍のパフォーマンスを発揮)の一般提供開始
  • セキュリティとAI

    さらにAIエージェントの話題は尽きません。ここからはセキュリティセクションについてまとめていきます。

    こちらについても新情報が目白押しです。具体的には、以下のものが発表されました。

  • Gemini in Threat Intelligenceのプレビュー版公開(Geminiを用いて疑わしい行動の分析が可能)
  • Gemini in Security Operationsの一般提供(迅速な脅威調査でセキュリティに関する意思決定を支援)
  • Gemini in Security Command Centerの一般提供(クラウドセキュリティ強化とAIワークロードを保護)
  • Model Armor プレビュー版の今季公開予定(カスタムポリシーやコンテンツセーフティフィルタを設定できる)

  • Google Cloud Next '24 会場内AIブース

    AIとイノベーション

    講演のここまでの部分では一つ一つの分野とAIの関わりや、それについての新情報、ユースケース等について述べられていました。

    ここからはAI推進やレジリエンスの強化に関する、広い観点からの話題について述べられていたものをまとめます。具体的には株式会社三井住友フィナンシャルグループの高松氏と、Google Cloudの上野氏がスピーカーとなられていたセクションについての言及です。

    まず株式会社三井住友フィナンシャルグループが創業以来イノベーションを繰り返してきたことについて触れられたのち、続いて今のイノベーションとして

  • 直接技術部門が意思決定者(社長)に直接話す(ミーティング)する場の設置
  • Oliveのサービス提供
  • Jenius Bankのアメリカ国内でのサービス提供
  • が述べられていました。これだけのみならず、ITインフラへの積極投資も行っているようです。

    またレジリエンス強化戦略としては、マルチクラウド構成化(元来使っていたMicrosoft 365に加えてGoogle Workspaceを追加し、これらを社内IDで連携)が挙げられていました。

    その意図としては、バンキング等対外的なシステムだけでなく、対内的な社員のワークプレースもレジリエンスの強化を行うため、ということです。

    まとめ

    前日に当たる1日目の基調講演でも新情報や具体的ソリューションが目白押しでしたが、二日目は分野を少し変えて、AIエージェント自体の新情報やユースケースなどが更に高い密度で紹介されている印象でした。

    ここで、レポートの中で紹介した新情報を一挙にまとめて紹介します。

    データエージェントとAI

  • Gemini in BigQueryのプレビュー版公開
  • Big Query データ キャンバスの一般提供開始
  • Gemini最適化機能の一般提供(クエリパフォーマンスの向上)
  • Data Preparation for Gemini in BigQueryのプレビュー版公開(AIによるデータパイプライン構築支援)
  • Vector Indexing in BigQueryのプレビュー版公開
  • BigQuery to Vertex AIのプレビュー版公開(BigQueryからVertex AIモデルに直接アクセスできるようになる)
  • Gemini in Looker(Lookerとデータエージェントの連携を強化)

    コードエージェントとAI

  • Gemini 1.5の日本語サポート
  • 任意のIDE(統合開発環境)の読み込みが可能に
  • 自然言語を用いてコードの修正を行うコードトランスフォーメーションの実装
  • Gemini Cloud Assistの一般提供開始(Gemini Code Assistと併用することで開発と運用の連携が可能に)
  • GKE(Google Kubernetes Engine)によるAIプラットフォーム
  • GKE Autopilot
  • イメージストリーミング(Podの起動時間とAIの学習にかかるコストを削減できる)
  • データベースとAI

  • Spanner Graphのプレビュー版公開(グラフデータベース)
  • Spannerの全文検索とベクトル検索機能のプレビュー版公開
  • Spannerエディション(段階的な価格設定モデル)の近日公開
  • Bigtable distributed countersの一般提供開始
  • BigtableがSQL対応開始(プレビュー版公開)
  • Cloud SQL for SQL Server Enterprise Plusエディション(Enterpriseエディションの4倍のパフォーマンスを発揮)の一般提供開始
  • セキュリティとAI

  • Gemini in Threat Intelligenceのプレビュー版公開(Geminiを用いて疑わしい行動の分析が可能)
  • Gemini in Security Operationsの一般提供(迅速な脅威調査でセキュリティに関する意思決定を支援)
  • Gemini in Security Command Centerの一般提供(クラウドセキュリティ強化とAIワークロードを保護)
  • Model Armor プレビュー版の今季公開予定(カスタムポリシーやコンテンツセーフティフィルタを設定できる)

  • これだけの発表が90分の間にもなされたのは、驚くに値することです。

    また、基調講演の最後には来年8/6(水)と8/7(木)にGoogle Cloud Next Tokyo ’25が開催されることも予告されました。その次回のNextも含め、今後もGoogleからは目が離せないようなアップデートが行われ続けることでしょう。

    Google Cloud Next '24 基調講演スピーカー

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