三大クラウドのDaaSを比較(AWS・Azure・Google Cloud)
2022.07.06
昨今では様々なシステムがクラウド上で稼働しており、 今後もより一層クラウド化が進むことが予測されます。
そんなクラウドサービスの1つのDaaS(Desktop as a Service)についてご存じでしょうか。
ここでは、三大クラウドごとのWindowsへのDaaSの違いをご紹介します。
はじめに
皆様の中でWindows環境の構築に悩んでいる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。システム開発、セキュリティ、統合管理などさまざま観点から鑑みた上でクラウド上にWindows環境を構築するDaaSを使うケースがあります。
そこで今回は、三大クラウドとよばれるAWS/Azure/ Google Cloudの3つのクラウドにおいてどのようなDaaSがあるのか、また各DaaSの特徴や比較表、利用シーンごとの推奨サービスなどをご紹介いたします!
記事の最初にDaaSとは何かという概要について、その後三大クラウドごとのDaaSサービスをご紹介しますので、是非じっくりとご覧ください。
いま注目のDaaS(Desktop as a Service)とは?
まず、今回のテーマとなるDaaS の概要についてお伝えします。 DaaSとは、簡単に言いますと物理的に離れた場所にあるPCを操作することです。
手元のPCから遠隔のPCに対して接続を行い、手元のPCから操作を送信し、遠隔PCから画面出力を常に受信します。これにより全てのデータを遠隔PCで扱うことになり、手元のPC紛失時に重要データが流出することはありません。またDaaSに類似したものとしてVDIが挙げられます。
違いとしましては遠隔PCがクラウド上にあるのか、という点です。
AWSのDaaS
まず最初にAWSのDaaSについてご紹介します。
AWSからは、2つのサービスを取り上げたいと思います。
Amazon EC2
AWSをあまり使わないかたでも耳にしたことがあるかもしれません。Amazon EC2(以下、EC2)は、AWSが提供する仮想サーバを構築するためのサービスです。
EC2でWindowsサーバを構築後にRemote Desktop Protocol(以下、RDP)ファイルをダウンロードすることでDaaSを実現することが可能になります。手順は図の通り非常にシンプルかつ簡単で、すぐに使えるWindows環境が欲しいときに使えるのではないでしょうか。
しかし、EC2では複数台の仮想サーバが必要なときでも1台ずつ設定していく必要があるので、そのような場合には少し手間になると思います。
Amazon WorkSpaces
こちらマネージド型のDaaSサービスとなります。Amazon WorkSpaces(以下、WorkSpaces)は上記のEC2と違いデスクトップ環境をActive Directory(以下、AD)で統合管理することができます。WorkSpacesでユーザ(デスクトップ環境)を管理し、そのデスクトップ環境のデータをAWS Directory Service上に保存します。
もちろん、既存のオンプレADと接続して使用することなども可能です。
WorkSpacesの大まかな利用手順は以下になります。
1. WorkSpaces上にユーザを作成
2. ユーザを招待で利用者に対してメールを送信
3. メールを受信した利用者がツールなどを使いデスクトップに接続
設定は少し複雑ですが、複数ある社内のデスクトップ環境を整備する際などに便利なサービスになるかと思います。
AzureのDaaS
次は、AzureのDaaSのご紹介です。
AzureもAWSと同様に、2つのサービスをご紹介したいと思います。
Azure Virtual Machines
Azure Virtual Machinesについては、過去の記事で詳しくご紹介しておりますのでこちらを参照ください。
使い方としてはAWSのEC2とほぼ同じです。必要なデスクトップ数が少数の場合に利用するとよいでしょう。
Azure Virtual Desktop
Azure Virtual Desktopは、先ほどご紹介したAWSのWorkSpacesに近いサービスです。管理者が、ユーザとユーザが利用する環境を管理したいときに使いましょう。
特徴としては非常に拡張性が高く様々な構成を実現することができます。その分、構築作業や設定が複雑になってしまうという点はあります。
Azure Virtual Desktopはかなり複雑なサービスになりますので、ここでは大まかに解説したいと思います。
Azure Virtual Desktopは、Azure ADのユーザとデスクトップとして使うVMの紐づけを行ってくれます。ユーザはVirtual Desktopで紐づけられたVMに対して接続して利用することができます。またこの際に設定をすることで複数のユーザから1つのVMに接続することもできます。
利用者として使う場合にはAzure ADでログインするだけなので、負担が非常に少なく済みます。オンプレ環境のADと接続すれば利用者は普段から使用しているアカウントのみで接続も可能です。
Google CloudのDaaS
Google Cloudからは、GCEという1つのサービスに対して2種類の接続方法をご紹介したいと思います。
GCE(Google Compute Engine)
まずご紹介するのがGoogle CloudでDaaSを行う際にコアとなるGoogle Compute Engine(以下、GCE)と呼ばれるサービスです。
GCEは、AWSのEC2やAzureのVirtual Machinesと同様の仮想マシンを提供しているサービスになります。
Google CloudでDaaSを行う際にはGCEでWindowsマシンを構築する必要があります。構築に関しまして今回は省略いたしますが、手軽に素早くマシンを作成することができます。
接続方法1.RDPファイルを利用
GCEではAWSのEC2やAzure Virtual Desktopと同様にRDPファイルをダウンロードすることができます。
このRDPファイルを使って接続する方法が最も簡単な方法です。またこの場合は直接VMインスタンスに接続している形になります。
接続方法2.IAPデスクトップを利用
リモートデスクトップクライアントと呼ばれるものでVMインスタンスへの接続をサポートするサービス(ソフトウェア)です。
VMインスタンスへの接続をIAPデスクトップが中継してくれるようなイメージをしていただくと、わかりやすいかもしれません。
RDPファイルが直接VMインスタンスに接続するのに対して、IAPデスクトップはプロジェクトにアクセスし、その中のVMインスタンスに接続する形になります。タブを使って複数台同時に接続できますので、複数台を並行して作業を行う際にはとても便利なサービスかと思います。
AWS・Azure・Google CloudのDaaSを比較
ではここまで紹介したサービスについてまとめていきましょう。 それぞれの特徴からどのような場合にどのサービスを活用するべきかという点について、筆者の考えをまとめてみました。
– | AWS | Azure | Google Cloud | |||
---|---|---|---|---|---|---|
– | EC2 | WorkSpaces | Virtual Machines |
Virtual Desktop |
RDP ファイル |
IAP デスクトップ |
環境構築難易度 | 低 | 中〜高 | 低 | 高 | 低 | 中 |
大量構築 | × | ◎ | × | ◎ | × | △ |
AD連携 | × | 〇 | × | 〇 | × | × |
利用者の使いやすさ | 〇 | △ | 〇 | △ | 〇 | ◎ |
拡張性 | × | 〇 | × | ◎ | × | × |
上の表を踏まえて、例えば以下のように利用すると良いのではないかと思います。
Windowsの検証環境が欲しいときなど個人で利用する場合
ある特定のプロジェクトの複数のPCに対して接続が必要な開発環境など、グループで利用する場合
会社や部署などでユーザ管理のADと統合して組織単位で利用する場合
終わりに
ここまで様々なDaaSを見てもらったかと思います。 比較内容を参考に、ぜひ最適なDaaSをお選びください。
また、こうして構築した環境も、日々の運用作業を欠かすことはできません。弊社では、AWSやGoogle Cloud、Azure の構築や監視・障害対応・運用保守を一括代行するサービスをご提供しておりますので、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。