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Amazon EC2インスタンスのMファミリーとTファミリー

Amazon EC2インスタンスのMファミリーとTファミリーを使い分ける!

2024.07.23

本記事のポイント

本記事ではAmazon Web Services(以下AWS)の最も基本的なコンピューティングサービスである Amazon Elastic Compute Cloud (以下 EC2) のインスタンスタイプについて解説します。
EC2を運用している方、これからEC2を使う方には必見の記事です。
ぜひ最後までお付き合いください。


Amazon EC2とインスタンスタイプとは

まず最初に、Amazon EC2とはどのようなものでしょうか?AWS Black Belt Online Seminarでは、以下のように説明されていました。


EC2とは、AWSが提供する仮想マシンサービス、つまりサーバをクラウド上で簡単に利用できるサービスです。またユーザは起動したEC2に管理者権限でログイン可能なので自由にサーバ構築が可能となります。



では、インスタンスタイプとはなんでしょうか?これは簡単にいうとEC2におけるコンピューティングリソースのスペックを決める値です。インスタンスタイプでは以下の要素が表現されます。

  • インスタンスファミリー(M4や T2など)
  • 追加機能(CPUアーキテクチャなど)
  • インスタンスサイズ (CPUやメモリなど)
  • インスタンスタイプの構成要素

    詳細に関しては、こちらの以下のページを参照してください。
    インスタンスタイプ: Amazon EC2(AWS公式サイト)

    基本的にはM,Tファミリーのインスタンスを使うことが多いと思います。そのため、今回はM,Tファミリーに焦点を当てて紹介したいと思います。

    JIG-SAW OPS AWS

    MファミリーとTファミリー

    M,Tファミリーは一般用途向けの汎用インスタンスで、CPU、メモリ、ネットワークなどがバランスよく利用可能なインスタンスです。

    検証用途や新規サービスを動かすときや何を使うか悩んだときには、基本的にM,Tファミリーから使うとよいと思います。ではMファミリーとTファミリーにはどのような違いがあるのでしょうか?

    2.1 CPUクレジット

    Tファミリーにおける最大の特徴となるのがCPUクレジットです。Mファミリーとは違い、Tファミリーではベースラインと呼ばれる予め決められたCPU使用率が定義されています。CPUクレジットについては以下の図を参照ください。

    CPUクレジット

    インスタンスに設定されたベースラインを上回った場合にCPUクレジットが消費され、ベースラインを下回った場合にCPUクレジットが消費されます。CPUクレジットが枯渇した場合は以下のような挙動となります。

  • スタンダードモード → CPU使用率に制限がかかりパフォーマンスが低下する
  • Unlimited モード → 枯渇した分のCPUクレジット分の追加課金が行われる
  • 2.2 費用

    2.1で紹介したようにTファミリーは、平均ではベースラインまでのパフォーマンスしか出すことができません。

    そのため、常に100%のCPUが使用ができるMファミリーに比べて安く設定されています。

    費用は t3.largeが$0.1088/時、m5.largeが$0.124/時間(2024年7月10日時点)とされており、これを1か月(730時間)分に換算すると以下のようになります。

    インスタンスタイプ ドル換算 (月次) 円換算 (月次)
    t3.large $79.42/月 12,468円/月
    m5.large $90.52/月 14,211円/月

    ※1USD = 157円で計算しています
    ※CPU、メモリが同じ条件(vCPU:2、メモリ:8GiB)のインスタンスサイズを一例にとって比較しています
    ※以下条件の1台あたりのオンデマンド費用で比較しています
     - リージョン:東京(ap-northeast-1)、OS:Linux、テナンシー:共有

    2.3 インスタンスサイズ

    MファミリーとTファミリーとでは利用可能なインスタンスサイズに違いがあります。

    TファミリーのT3インスタンスの場合はnano ~ 2xlargeまでが利用可能です。

    対してMファミリーのM5インスタンスはlarge ~ 24xlargeまでが利用可能となっています。そのためMファミリーは安価なインスタンスが存在せず、Tファミリーはハイスペックなインスタンスが存在しません。

    インスタンスサイズ

    2.4 インスタンスストア

    インスタンスストアはEC2に物理的にアタッチされる一時ストレージです。比較対象として挙げられるものとしてAmazon Elastic Block Store(以下EBS)があります。

    EBSはネットワーク経由でアタッチされる永続ストレージになります。インスタンスストアはEBSと異なり物理的な接続のため高いIOPSが実現可能です。そんなインスタンスストアはMファミリーではサポートされており、Tファミリーではサポートされていません。

    MファミリーとTファミリーの使い分けについて

    ここまで紹介した内容をもとにどういった基準でMファミリーとTファミリーを使い分けるのかについてまとめます。

    一点だけ注意点として、MファミリーとTファミリーの使い分けに関して厳密に定義できるものではないので、その点だけご認識お願いします。

    使い分け1: vCPU 2 メモリ 8GiB 以上のコンピューティングリソースが定常的に必要である

    → Mファミリーを使用する

    使い分け2: 検証用途で費用を抑えてサーバを使いたい

    → t3.nano ~ t3.smallをバーストパフォーマンス スタンダードモードで使用する

    使い分け3: インスタンスの100%の性能を常に保証したい

    → MファミリーまたはTファミリーをバーストパフォーマンス Unlimitedモードで使用する

    使い分け4: 平常時はほとんど負荷がかからないが、瞬間的に負荷がかかることがある

    → Tファミリーを使用する
    ※ インスタンスサイズが2xlargeまでしかないので注意

    使い分け5: インスタンスストアを使いたい

    → Mファミリーを使用する

    最後に

    今回は、AWSのEC2インスタンスにおけるMファミリーとTファミリーの使い分けについて紹介しました。使い分けについて悩んでいる方は本記事で紹介した内容をぜひ参考にしてください。

    今までなんとなくt2.microを使っていた方も、これからはその違いを意識していただけたら嬉しいです。

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