手軽に利用できるMicrosoft Azureサンドボックス環境の活用
2023.06.21
本記事では、Microsoft Learnサイト内で利用できるMicrosoft Azure(以下、Azure)サンドボックス環境について、ご紹介します。課金が発生するAzureの実環境を用意せずに、無料で手軽に利用できる環境であるため、利用シーン例を交えてご説明します。
はじめに
パブリッククラウド市場において高いシェアを占めるAzureサービスの構築・運用案件の引き合いが年々増えてきており、要件を整理させていただく場面では使用サービスの机上調査に留まらず、Azure環境を用いた簡易的な動作確認、検証を通して裏付けを取りたいことがあります。まずは、検証のために用意するAzure実環境の利用が考えられますが、もっと手軽にすばやく、簡易検証などで利用可能なAzureサンドボックス環境についてご紹介します。
Microsoft Azureサンドボックス環境の概要
Azureサンドボックス環境はMicrosoft Learnサイト内のトレーニング演習で利用可能なAzureの操作環境です。Azureサンドボックス環境では、ご自身で所有しているAzureアカウント、サブスクリプションを使用せずに、特定のAzureタスクを無料で実行できます。
Microsoft Learnサイト内ではさまざまなトレーニング演習コンテンツが用意されているため、確認したいコンテンツに含まれるサンドボックス環境を見つけて、Azureの簡易検証に利用できます。ただし、サンドボックス環境の利用は、1回あたり4時間まで、1日あたり10回までの制限があります。作業環境の保存、後で別の目的での環境の再利用、サンドボックス環境の外部拡張などには対応してないため、そのような利用シーンでは、ご自身のAzureアカウント、サブスクリプションを用意する必要があります。
参考サイト:
https://learn.microsoft.com/ja-jp/teamblog/microsoft-learn-tour#free-fixed-time-azure-resources-with-learn-sandbox
https://learn.microsoft.com/ja-jp/training/support/use-your-own-subscription#azure-training-exercises
活用例
Azureサンドボックス環境は、さまざまなケースでの利用が想定されます。活用例を以下に記載します。
簡易的な動作検証
受注前の提案フェーズ、受注後の基本検討・基本設計フェーズなどでのAzureサービスの簡易的な動作検証においての利用が想定されます。例えば、Azure App ServiceやAzure SQL DatabaseにおけるAzureストレージアカウント(Blobストレージ)へのログ出力の動作を確認するために利用します。
詳細設計書・パラメータシート作成
詳細設計フェーズなどでのパラメータシートのフォーマットを作成する目的での利用が想定されます。例えば、Azure App ServiceやAzure SQL Databaseのパラメータ項目をAzure Portal上で確認し、シートに転記するために利用します。
手順の確認・手順書作成
試験フェーズなどでのテスト仕様書やバックアップリストア手順書などの作成時に利用が想定されます。例えば、本番環境を利用できない制約がある中で、Azure App ServiceやAzure SQL Databaseのバックアップリストア手順書を作成する目的で利用します。
使用方法
Microsoft Learnサイトで目的のサンドボックス環境モジュールを見つけます。今回は以下のApp Serviceの演習コンテンツを使用します。
■Azure App ServiceでWebアプリケーションをホストする
https://learn.microsoft.com/ja-jp/training/modules/host-a-web-app-with-azure-app-service/
アカウントにサインインを行います。(個人用のMicrosoftアカウントを使用しています)
サンドボックス環境をアクティブにします。
サンドボックス環境のAzure Portalにログインします。
演習コンテンツの記載に従って、App Serviceを作成します。
App Serviceが起動されることを確認します。
learnサイト内の主なモジュール
Microsoft Learnサイト内で利用可能なサンドボックス環境のモジュールが含まれる演習コンテンツについて、代表例を以下に記載します。使用頻度が比較的高い、主にPaaSやサーバーレス環境のモジュールをご紹介します。
■Azure App ServiceでWebアプリケーションをホストする
https://learn.microsoft.com/ja-jp/training/modules/host-a-web-app-with-azure-app-service/
■Azure SQL でデータをセキュリティで保護する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/training/modules/azure-sql-secure-data/
■最初の Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーを作成する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/training/modules/create-azure-database-for-mysql/
■Azure Database for PostgreSQL を作成して接続する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/training/modules/create-connect-to-postgres/
■Azure Container Instances でコンテナー イメージを実行する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/training/modules/create-run-container-images-azure-container-instances/
■コンテナー化されたアプリケーションを Azure Kubernetes Service にデプロイする
https://learn.microsoft.com/ja-jp/training/modules/aks-deploy-container-app/
まとめ
Microsoft Learnサイトで利用可能なサンドボックス環境について紹介させて頂きました。Microsoft Learnサイトでは容易に目的のサービスを見つけることができ、Azureサンドボックス環境を利用して簡易的な動作確認、パラメータシートや手順書などのドキュメント作成における実機確認に利用できます。また、新しいサービスがリリースされた際のAzure上の操作体験も期待できるため、Azureサンドボックス環境を知っておいて損はありません。