Amazon Aurora Serverless v2が一般提供開始!進化し続けるAuroraの新しい機能とは?
2022.06.22
本記事では、Amazon Auroraの特徴や混在しがちなAuroraとRDSの違いをご説明した後、2022年4月に新たに登場したAmazon Auroraの新機能、「Amazon Aurora Serverless v2」について詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
はじめに
Amazon Web Services(以下、AWS)が提供するサービスのひとつに、「Amazon RDS」というデータベースサービスが存在します。このRDSを利用したり調べたりすると、「Amazon Aurora」という単語を目にする機会があるかと思います。
詳しいことは知らないけどRDSの似たようなサービスの1つ、というざっくりとした認識をお持ちの方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、Amazon RDSとAmazon Auroraの違い、また今年新たに登場した機能「Amazon Aurora Serverless v2」について解説します。
記事前半ではAmazon RDSとAmazon Auroraの特徴及びメリット・デメリットについて、後半ではAmazon Aurora Serverless v2の機能についてご紹介しています。ぜひご覧ください。
Amazon Aurora とは?
まず、Amazon Auroraの概要についてご説明します。Amazon Auroraを理解するには、Amazon RDSとの関係性を知る必要があります。
Amazon RDS とは、AWSが提供するフルマネージド型(パッチ適用、バックアップなどをAWS側が自動で行ってくれること)のRDB(リレーショナルデータベース=データの集合体)サービスです。AWS以外のRDBサービスには、MySQLやPostgreSQL、Oracle Database、Microsoft SQL Serverなどがあります。
AWSでサーバー構築を行う際、オプションとしていずれかのDBエンジンを選択する必要がありますが、その選択肢の中にAmazon Auroraが存在します。
つまり、AuroraはDBエンジンのオプションの1つとなります。
しかし、ここで1点落とし穴があります。 Amazon Auroraは他5つのタイプとは異なり、正確にはDBエンジンではありません。
代わりにMySQLとPostgreSQLエンジンとの互換性を持っています。つまりAmazon Auroraとは、他DBとの互換性を持つDBオプションだと言えます。
Amazon Aurora 6つの特徴
Amazon Auroraには、以下のような特徴があります。
特徴1. 優れたパフォーマンス性能
MySQLと比べ最大5倍のスループット、PostgreSQLの最大3倍のスループット(一定時間に処理できるデータ量)があります。
特徴2. 高い可用性と耐久性
3つのアベイラビリティーゾーンに対して、最大15個のAmazon Auroraレプリカの作成が可能であり、自動フェイルオーバー機能を備えています。
特徴3. 高い安全性
AWS KMSで作成および管理するキーを使用して、データベースを暗号化することが可能です。
特徴4. フルマネージド型サービス
RDSのフルマネージド型サービスの恩恵(パッチ適用、バックアップなどのデータベース管理)を引き継いでいます。
特徴5. データベース移行サポート
MySQL及びPostgreSQLのデータベースの移行が可能、またオンプレミスからのデータベース移行も可能です。
特徴6. 低コスト
商用データベースと同じ機能を、10分の1程度のコストで操作することが可能です。
Amazon Aurora・Amazon RDSの違い
Amazon Auroraの特徴が分かった上で、次はAmazon RDSとの違いをご紹介します。
Amazon Aurora | Amazon RDS | |
---|---|---|
対応エンジン |
|
|
ストレージ サイズ | 10GiB~128TiB | 20GiB~64TiB (Microsoft SQL Serverは、20GiB~16TiB) |
ストレージのスケーリング | 自動 | 手動(デフォルト) |
ストレージの縮小 | 可能 | 不可能 |
ストレージの可用性 | 3つのAZに合計6つのボリュームを配置し、冗長化 | シングル構成では、AZ内で冗長化 |
フェイルオーバー | すべてのリードレプリカで可能 | スタンバイDBのみ可能 |
リードレプリカ | 最大15個 | 最大5個 |
Amazon Auroraは、選択できるエンジンがMySQLとPosgreSQLのみなので、利用できる条件が限られています。一方でAmazon RDSは、MySQLとやPosgreSQL以外でも使用できるため、利用する際のエンジンの選択肢が豊富という事がわかります。
例えば、MySQLとPosgreSQLを利用する場合はAmazon Auroraを利用、それ以外を利用する場合はAmazon RDSを利用するなど、使い方に合わせてそれぞれ最適なものをお選びください。
次の章では、Amazon AuroraとAmazon RDSのメリット・デメリットをそれぞれ記載します。
Amazon Aurora・Amazon RDSのメリット
Amazon Aurora
Amazon RDS
Amazon Aurora・Amazon RDSのデメリット
Amazon Aurora
Amazon RDS
新バージョン Amazon Aurora Serverless v2 とは?
続いて、Amazon Auroraの新機能「Amazon Aurora Serverless v2」についてご紹介します。
Amazon Aurora Serverlessとは、オンデマンドのAuto Scaling設定が行えるAWSのデータベースサービスです。アプリケーション側の要求に基づき自動的に起動・停止が可能で、容量をスケールアップ・スケールダウンすることができる機能です。
Amazon Aurora Serverless v2の特徴は、以下の通りです。
特徴1. 簡素化
ユーザーでのサーバー管理が不要であり、自動で起動・シャットダウンが実施されます
特徴2. スケーラブル
コンピューティング性能・メモリ容量が必要に応じてスケーリングされます
特徴3. コスト効率がいい
使用したデータベースリソースを1秒単位で請求が可能です
特徴4. 高可用性
リードレプリカ、フェイルオーバーなどAuroraの幅広い機能が使用可能です
特徴5. シングルAZ
マルチフェイルオーバーが可能であり、自動的に他のAZに復旧されます
Amazon Aurora Serverless v1、v2の違い
では次に、「Amazon Aurora Serverless v2」と、その一つ前のバージョン「Amazon Aurora Serverless v1」の違いをご紹介します。
v1 | v2 | |
---|---|---|
ACU |
|
|
料金 | 1ACUあたり0.10 USD/時間 | 1ACUあたり0.20 USD/時間 |
マルチAZ機能 | なし | 可能 |
クラスター停止 | 自動停止可能 | 手動停止が必要 |
このように、新機能のv2では、耐障害性が必要な場面で使用できなかったマルチAZ機能が使用できるようになりました。
またスケーリング時には一度も中断がされることなく少ない容量で変更ができるため、v1と比べて迅速なスケーリングやデータベース容量の調整が行いやすくなりました。
Amazon Aurora Serverless v1、v2の特徴
Amazon Aurora Serverless v1
Amazon Aurora Serverless v2
Amazon Aurora Serverless v1、v2の問題点
Amazon Aurora Serverless v1
Amazon Aurora Serverless v2
まとめ
今回は、Amazon Auroraの特徴と、オプションの機能の1つである「Amazon Aurora Serverless v2」に焦点をあててご紹介させていただきました。v1よりもさらに多様化した機能が増え、AWSを利用するユーザーのユースケースの幅がさらに広がったと感じます。
費用コストの観点から、v2でも一時停止が対応可能となればコストは今よりも削減され、更に需要が高まるのではないでしょうか。AWSをご利用の際は、ぜひAmazon Aurora Serverless v2を取り入れ、快適なクラウド環境を構築してみてください。